愛し君へ

話の冒頭、「父親の涙を見たことがありますか」とナレーション。自分は親父の涙を見たことがない。じいちゃんが死んだときも、ばあちゃんが死んだときも、テキパキと葬式を取り仕切り、きっちりと挨拶をする姿ばかりが記憶にある。
今回、四季(菅野美穂)が父親(泉谷しげる)に安曇(藤木直人)を紹介した後、本人たちの見えないところで、父親が涙せんばかりに母親(奥貫薫)の遺影に報告する姿は印象的だった。毎週このドラマは、自分の家族への愛情について省みさせてくれる。安曇の母親(八千草薫)が見せる息子への愛情、四季の父親が本人に見せないように注ぐ娘への愛情、亜衣(伊東美咲)の小さな娘への愛情、描かれる家族愛はいずれも美しく尊いものであり、愛おしい相手への気持ちをタイトルとしているこのドラマの隠れたテーマなのかもしれないと思った。
父や母は私がいつか結婚するときに、どんな顔で見送ってくれるだろう。私は父や母をいつか看取る時にどんな思いを抱くだろう。