L.D.K. Lounge Designers Killer/capsule

最近になってようやく購入。そして、ようやくゆっくり聴きました。

L.D.K Lounge Designers Killer

L.D.K Lounge Designers Killer

いつもならば、capsuleのアルバムについて「おもちゃ箱をひっくり返したような...」という紋切り型な謳い文句で、中田ヤスタカのアイデアが溢れ出てくるイメージを表現します。あるいは前作のような見事なまでのストーリー性への賛辞
でも、今回感じたイメージは、おもちゃ箱とはまた別の、ストーリー性ともまた別の、何かが線上を流れていくような雰囲気を憶えました。曲同士はまったく異なるのに、アルバム全体にまとまりを感じるのです。思い浮んだことをあっちゃこっちゃに作っては投げ作っては投げ、としているわけでなく、何か共通点のようなものを感じるのです。
それが何かと思い探した答えは、どの曲も空を飛んでいる風景が思い浮ぶということでした。チープな例で言えば、初期のFFで初めて飛空挺を手に入れて浮上した時のような感動。(でもビジュアル的にはFFXの飛空挺のコックピットからの景色に近いかも)
その乗り物は、宇宙船だったり近未来の特別速い旅客機だったり、海面スレスレを飛空挺が飛んでいたり、曲名どおりグライダーで爽やかに空を流れていたり、いや飛ぶだけじゃなくて、メリーゴーランドにピエロと一緒に乗って回っていたり、手漕ぎの小さなボートに乗っていたり、頭に浮かんでくるインスピレーションはとにかく飛んだり、何かに乗っていたり、あるいは自分は飛ばずに、飛んでいる飛行物体を地上から見守っていたりもする。全ての曲に一筋の風を感じるのです。
おもちゃ箱をひっくり返したように、きれいなマーブルがあちらこちらに好き勝手転がっていくのでは無しに、曲にのって自由に空を飛ぶような、飛んでいるものから風を受けるような、そんな印象を受けました。
そして、今回もcuteでpopで、おしゃれにおめかしした女の子が主人公。これは各アルバム毎に変えているのではなく、capsuleというユニットに恣意的に印象付けたイメージなのだと思います。この主人公が魅力的に映る間は、capsuleサウンドは新鮮さを失うことなく、私たちに驚きと気持ち良さを与えてくれるのでしょう。
うーん、難解なレビューだなあ。感じたことはもっと単純なんだけど、文章に表すと古典文学の解説のような、辞書を持ち出さないといけない表現になってしまう。それだけ自分の頭が、capsuleという柔らかい曲を聴くには、まだまだ硬すぎるということなのかな。もう少し落ち着いて聴いてみたいと思います。
ところで、capsuleのアルバムがリリースされると、なぜか「最近家具を買い換えてないな」とか「部屋の模様替えでもしようかな」という気分になります。capsuleの曲は一つのインテリアで、インテリアを一つ増やしたからにはそれに合わせて部屋の雰囲気も変えたいと思わせるからでしょうね。