風のガーデン 第一話 スノードロップ

相変わらず贅沢なドラマ。というのが最初の感触。イヤミじゃないですよ、好感触です。
巨匠と呼ばれるほどの脚本家が「大人のドラマ」を作ると長ゼリフは必然のようで。「鬼ばかり」と向こうを張らんばかりの、溜めの長いシーンの連続でした。無音とか表情とか間(ま)とか、思いっきりカッコつけたシーンが次々にぶつけられてきて、その連続に挽きこまれっぱなしのうちにあっという間のエンディングを迎えた感じでした。ストーリーとしては、今日だけでだいぶ色々と種蒔きがされたので今後の展開に期待です。
オンエア開始を控えたこの大事なタイミングで緒形拳の不幸の知らせが届き、なんだかバツの悪いイヤな鳴り物入りでのスタートとなりましたが、それはそれ・これはこれで年内楽しませてもらいたいものです。丁寧に入れたコーヒーでも飲みながら、ゆっくりと視聴させていただきます。
ただし、お願いがあります。コーヒーの豆で思い出しました。「優しい時間」のように自分の好みにばかり走りすぎずに、軽すぎず重すぎず、今日の初回のようにチェロの響きやスロージャズを聴いているときのような、深みのある雰囲気を大切にしてもらいたいですね。今回を見た人の中で緒形拳目的の人は今回を見ただけで満足かもしれませんが、倉本ワールドが好きで見た人はきっとまた続きを見たいと思ったはず。だから、続きを見たら期待外れだったというカッコ悪い流れにならないように。高い視聴率を期待するよりも、ブラウン管の向こう側で「大人のドラマ」に期待をしている人たちの心にスーっと入ってくる今回のテイストをキープしたまま、蒔いた幾つかの種からそれぞれ美しい花を咲かせてもらいたいものです。
そういう意味で、このドラマそのものが大きな花を咲かせる、もう一つの「ガーデン」だと思います。冒頭のシーンに幾つか挿し込まれた富良野の花畑の風景は相変わらずきれいでした。そんなきれいなしかし控えめな、そんな花が沢山咲く春、そんな季節を思い起こされるような「大人のドラマ」を期待しています。